不具合がないと、「見えて当たり前」と思いがちですが、加齢とともに目の病気を患うリスクは高まります。
この医院新聞を通じて「目の病気」について、一緒に考えてみたいと思います。今回は、目の病気の中でも特によく知っておいてほしい『緑内障』のお話です。
◆ 緑内障とは?
緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こる、目の病気です。
視野(見える範囲)が狭くなる病気で、治療が遅れてしまうと失明に至ることもあります。
視野が狭くなる症状は少しずつ進行します。そのため、見える範囲も少しずつ狭くなっていきます。
(画像出典:参天製薬さんのホームページ)
その進行は非常にゆっくりであり、また両方の目の症状が同時に進行することはかなり珍しいため、病気がかなり進行するまで自覚症状がほとんどありません。
そのため、緑内障に気づかず、自覚症状が現れたときにはかなり病気が進行してしまっているというケースも少なくありません。
◆ 緑内障の治療
一度障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできません。
そのため、緑内障の治療は、視神経がダメージを受けてそれ以上視野が狭くならないようにしていく、進行予防のための処置が基本となります。
主に眼圧を下げる効果がある点眼薬を使い、進行を予防します。眼圧が適正にコントロールできているかを観察する必要があるため、定期的な検査も欠かせません。
点眼薬を使っても視野が欠けていく症状の進行が止まらない場合、外科的処置を行うこともあります。
◆ 早期発見・早期治療を!
今回お話したとおり「自覚症状に乏しい」ということが、緑内障という病気の最も怖いところ…
緑内障は中高年の方に起こる代表的な病気のひとつで、誰にでも起こり得る可能性があり、40歳以上の17人に1人が緑内障を発症していると言われています。
一方で、その90%以上の人たちが緑内障の治療を開始していないとも言われており、それだけ自覚症状に乏しい病気なのです。
そして、一度失った視野は元の状態には戻らないため、自覚症状が出る前に発見することが重要です。
ですから、40歳を過ぎたら何も症状は感じなくても、年に一度は眼科検診の受診をおすすめします。