人が得る情報の8割は、視覚を通して得ているものと言われています。
大切な目だからこそ、日頃から『目の点検』を欠かさずにいたいものです。
不具合がないと、「見えて当たり前」と思いがちですが、加齢とともに目の病気を患うリスクは高まります。
この医院新聞を通じて「目の病気」について、一緒に考えてみたいと思います。
今回は、『加齢黄斑変性』(かれいおうはんへんせい)について、お話します。
◆ 加齢黄斑変性とは?
加齢黄斑変性とは、モノを見るときに重要なはたらきをする黄斑という組織が、
加齢とともにダメージを受けて変化し、視力の低下を引き起こす病気のことです。
モノを見るときに、目の中に入ってきた光を網膜という組織で刺激として受け取り、
その信号を脳に送るために視神経に伝達します。
その網膜の中心部分が、黄斑です。
黄斑が変化すると、モノがゆがんで見える、視野の中心が暗くなる・欠ける、視力低下などの症状が出ます。
加齢黄斑変性は、糖尿病網膜症、緑内障とともに、失明リスクの高い病気なので、注意が必要です。
◆ 加齢黄斑変性の原因
加齢黄斑変性には、「委縮型」(いしゅくがた)と「滲出型」(しんしゅつがた)の2タイプあります。
「萎縮型」は、黄斑の組織が加齢とともに萎縮する現象で、症状はゆっくりと進行し、急激に視力が低下することはありません。
「滲出型」は、網膜のすぐ下に新しい血管(新生血管)ができて、これが黄斑にダメージを与えます。
新生血管は正常の網膜にはない血管で非常にもろく、その成分が漏れ出て溜まる、あるいは出血を起こしやすいという特徴があります。
この血管から出た液体が黄斑の組織にダメージを与えて、視覚障害を引き起こします。
◆ 加齢黄斑変性の対策
「委縮型」は、加齢現象のひとつであり、治療の必要ありません。
ただし、「滲出型」に移行して急激に視力が低下することがあるため、定期的な健診が必要です。
「滲出型」は、新生血管を沈静化させる薬を硝子体内に注射する「抗VEGF療法」という方法が一般的です。
早期発見できれば、見えない部分を最小限に抑えることができ、視野にはほとんど影響がなくて済みます。
日頃から、モノがゆがんで見えていないかを片目ずつチェックして、早期発見に努めましょう!