今回は『網膜裂孔』(もうまくれっこう)、『網膜円孔』(もうまくえんこう)についてお話します。
早期発見により視力への影響を小さくできる病気なので、知っておいてほしい病気のひとつです。
● 網膜の役割
網膜は、目の奥・眼底(がんてい)にある組織です。
そこには視細胞と呼ばれる光を感じる細胞があり、
ここで受けとられた映像は電気信号に変換されて、視神経を通じ脳に送られ認識されます。
目の構造をカメラに例えればフィルムにあたる組織で、
ものを見るために大変重要な働きを担っています。

● 網膜裂孔、網膜円孔って?
網膜に亀裂ができることを『網膜裂孔』(もうまくれっこう)、
網膜に穴があくことを『網膜円孔』(もうまくえんこう)といいます。
原因の多くは、
加齢による硝子体(網膜の前にある寒天のようなドロっとした透明な組織で、
眼球内部の大半を占めている)の変化です。
硝子体が収縮する際に、網膜を引っ張って生じることが多い症状です。
● 放っておくと網膜剥離に・・・
放っておくと、穴や亀裂がどんどん悪化し、
網膜が剥がれる『網膜剥離』(もうまくはくり)になります。
網膜剥離が起こると、見える範囲(視野)の一部が欠け、
大変見えにくくなってしまいます。
網膜剥離が網膜の中心で最も重要な黄斑部(おうはんぶ)にまで及ぶと、
視力低下が起こり、放置しておくと失明に至る場合もあります。
網膜裂孔・円孔と網膜剥離に進行してしまった場合とでは、治療法も治療時間も大きく異なります。
網膜裂孔・網膜円孔の状態では、穴や亀裂が入っている周りをレーザー治療します。
レーザーの処置は見つかった当日に行なうことができ、特に入院は必要ありません。
一方、網膜剥離にまで進行してしまうと、2週間ほど入院して行なう手術となり、
その後しばらくは仕事や運動に制限をかけられる場合もあります。
そうならないようにするためには、早期発見・早期治療が肝心ですから、定期的に眼科検診を受けましょう!